『名前を呼んでみたの!』
ペンネーム:まりも
私の母は、子供たちが小さいころから、「おばあちゃん」と呼ばれたくないと、家族には自分のことを「アミちゃん」と呼ばせている。
現在の我が家は、私たち夫婦とアミちゃんとの三人家族だが、先日、長男の一家4人が遊びに来てくれた。長男夫婦には、1歳になる可愛い女の子の、ノンちゃんと、腕白ざかりの3歳になったばかりの目のくりっとした男の子、アッ君がいる。
食事が終わり後片付けを始めたころに、アッ君が目の前に座っていたひいおばあちゃんである母に「アミちゃん」と呼びかけた。突然呼びかけられた母はびっくりし、目を丸くして「はい!」と返事をした。アッ君はニンマリし、もう一度「アミちゃん」と言った。母は元気よく「はいっ!」。アッ君が大声で「アミちゃんっ!!」。母は負けるものかと更に大きな声で「はいっ!!!」。さらに大声で「アミちゃん!!!」母も「はーい!!!」。
「うるさい、もう少し静かに!」と、テレビを見ていたアッ君の父親である息子がどなった。
アッ君は目をくるりとさせて「アミちゃん」と今度はそっと小声で言った。母も声を落として「はい」。アッ君はまた、ささやくように笑顔で「アミちゃん」と言った。母も「はーい」とささやくように笑顔で答えた。