『失われた猫』
先日、憧れのお方からこの本を薦めていただいた。でもその情報は「失われた猫」という題名だけ。
いったいどんな本なのだろうか?
レトロな街並みと路面電車が表紙を飾る。時がゆっくりゆったりと流れていた時代。
“チンチン”と鐘を高らかに鳴らせて走ってい た“チンチン電車”。
幼いころ、母に手を引かれよく乗ったっけ。ノスタルジックな世界にどんどんどんどん吸い込まれていく。「なんてステキな表紙なの!」それがこの 本との出合いだった。
ページをめくると、そこには猫だけが息づく不思議な世界が広がっている。
白い猫と斑の猫は、伝説の猫を求めてさまよい続ける。詩情豊かな文章なのに、なぜか読めば読むほどに難しい。だけど、本を閉じるとまたすぐ読みたくなるその魅力がたまらない。筋肉までもがリアルに描かれた猫のしぐさには癒しのオーラが溢れている。
風通しのよい窓辺に椅子を運び、私は猫たちとさすらいの旅に出る。物語にどっぷりと浸かる至福のひととき。心がほっこり温かくなったら、やさしい気持ちになれるもの。
そんな時こそ口にしたい、愛しい人への感謝の言葉。笑顔を添えて贈りましょ!心からの“ありがとう”を。
『失われた猫』
森 博嗣 | 作 |
佐久間 真人 | 画 |
大須賀 典子 | 訳 |
英文併用 | |
発行 | 光文社 |
定価 | 2100円+税 |