『愛』~愛はコミュニケーション~

トップイメージ

ハッピーおじさん

【愛のコミュニケーション講座】

ハッピーおじさん挿画

   『第2話』

 エルミは、前回のお礼にと、おじさんを訪ねてきました。でもどことなく表情が暗く、何かまだ聞いてもらいたいことがある様子です。
 何から話してよいか戸惑うエルミの気持ちを察して、おじさんはある話をしてくれました。

 〓ハッピーおじさん相談室〓

 おじさんの話は、時折授業中にしかも最前列で堂々と寝る友人に不満を募らせていた学生時代の話でした。ある時彼と話をする機会があり、「堂々と寝るのは先生に失礼だ」と自分の気持ちを伝えました。ところが彼から話を聞いてがく然としたのです。
  彼は、アルバイトの稼ぎで、学費だけでなく実家への仕送りも工面していたのでした。大学へも2駅ほど歩いての通学でした。彼の相当な疲れは想像できました。人それぞれに事情があることを教えられた瞬間でした。彼が、最前列に座るのは教員を目指す向学心の表れでした。
  以来、互いに励まし合う友人にもなりました――という話でした。
おや、おじさんの話を聞いていたエルミの表情が明るくなっています。

 おじさんがこの話をした理由は分かりませんが、人は正に自分の気になっていることと似たケースに偶然出くわすことから、気になっていることが解消するような体験をすることがあります。

 エルミは、授業中に私語をし、やがて寝てしまう学生のことが気になって自分の学びにも支障をきたしている状況が続いていたのです。授業を邪魔されている気持ちやそのような学生がいることをどう思うかと、おじさんに聞いてみてほしかったのでした。
 おじさんの話を聞いて、その学生にも事情があると思ったことで、ずいぶん気が楽になったようです。

愛のコミュニケーション講座

サイトメニュー

▲ページトップに戻る